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便秘症の一般的な症状や診断基準

[2021.03.30]

慢性便秘症ガイドラインでは便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されました。排便の量、回数が少ないだけでなく、残便感があり不快感があれば病気といえます。

基本的には男性に比較して女性の方が多い傾向にあります。たかが便秘と思って放置していると重篤な合併症を引き起こしたり、隠れている重い病気を見落とすことになりかねません。便秘なんかで病院にかかりたくないと思っている方も多いと思いますが、実は隠れている病気が重いものかもしれません。

 

診断基準と症状

慢性便秘症診療ガイドラインでは診断基準が明確化されましたが、診断基準に当てはまれば絶対に治療が必要というわけではなく、逆に毎日排便があっても残便感があったり、硬便(硬い便)が多いという方は治療が必要になります。

慢性便秘症診療ガイドラインでは排便回数減少型と排便困難型の2パターンに分類されています。

またどのような状態で便秘が起こっているのかについては

大腸通過正常型:便秘型過敏性腸症候群など

大腸通過遅延型:特発性便秘症や便秘型過敏性腸症候群、薬剤性便秘症など

便排出障害型:直腸感覚低下や直腸収縮力低下、直腸瘤、巨大結腸など

に分類されます。また薬剤が原因となることも多いですが、身近なもので言えば、咳止めの薬、抗コリン薬(気管支拡張薬)、抗ヒスタミン薬(花粉症治療薬など)、向精神病薬、降圧薬(高血圧のCa拮抗薬)など、比較的多いと感じるのではないでしょうか。

40歳を過ぎて最も怖いのは大腸癌による狭窄(消化管がつまりかけること)です。便秘と下痢を繰り返す、細い便しか出ない、出血することある、体重が減ってきていたりすれば要注意です。

一般的な便秘症の症状としては、便が溜まっている感じはある、腹部膨満感(おなかが張る感じ)、腹痛、残便感などがあり、ひどくなると吐き気や食思不振(食欲が落ちる)などがあります。腸内細菌叢(おなかの中の細菌の町)が乱れる為に、おならが臭くなったり、皮膚症状(肌荒れ)などが出たりします。

癌が原因でない場合に怖いのは腸閉塞を起こしてしまうことです。硬便で大腸がつまってしまって糞便性イレウスという腸閉塞を起こすことがあります。腸閉塞によって腸が傷むと腸に穴が空く腸管穿孔という状態をきたし、便がお腹の中にまき散らされて生命を脅かす腹膜炎を起こします。

これらの状態は腹部超音波検査などで、診断が可能で、またどの程度の硬便かもある程度、類推することも出来ます。

便秘で悩んでいても、何科に行けばいいか分からないという方も多いようです。便秘のときは放置せず、消化器内科を受診しましょう。

当院では消化器内科専門医が診療にあたります。なかなか治らない慢性的な便秘や残便感は、日常生活の質を下げてしまいます。重篤な病気が隠れていることもありますので、『たかが便秘』『下剤を飲めばよい』と放置せずに、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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