糖尿病の4つの原因と症状
2型糖尿病
糖尿病にはいくつか種類がありますが、全体の9割以上を占めるのが、「2型糖尿病」です。
主に生活習慣の乱れを原因として発症するため、高血圧・脂質異常症などと共に、「生活習慣病」に分類されます。
原因
2型糖尿病は、主に以下のような原因によってインスリンの分泌が低下する、インスリンの効きが悪くなることで発症します。
- 食べ過ぎ、早食い
- お酒の飲み過ぎ
- 運動不足
- ストレス
- 肥満
- 不規則な生活リズム
- 遺伝的要因
- 加齢(40歳以上)
症状
2型糖尿病は、症状(特に初期症状)の乏しい病気です。以下のような症状がすでに現れている場合には、できるだけ早く当院にご相談ください。
- 頻尿、多尿
- 異常なのどの渇き、水をたくさん飲む
- 疲労感、倦怠感
- 体重減少
- 手足のしびれ、感覚低下
- 視力低下、目のかすみ、まぶしさ
- 傷の治りが遅い
- 感染症によくかかる
- 勃起不全(ED)
1型糖尿病
生活習慣に関係なく、免疫の異常によって膵臓のβ細胞が破壊されることでインスリンが分泌されなくなり、発症するタイプの糖尿病です。
原因
1型糖尿病は、自己免疫の異常を原因として発症します。外敵から体を守ってくれるはずの免疫が、誤って膵臓のβ細胞を破壊してしまうことで、インスリンが分泌されなくなり、慢性的な高血糖状態へと至ります。
また、「1型糖尿病になりやすい体質」には、一定程度の遺伝性が認められます。
1型糖尿病の分類
劇症1型糖尿病
発症後、わずか1週間ほどでインスリンが分泌されなくなるタイプです。
すぐにインスリンを補充しなければ、命にかかわる事態となります。
急性発症1型糖尿病
発症後、数カ月をかけてインスリンが分泌されなくなるタイプです。
3つの中で、もっともよく見られるタイプの1型糖尿病と言えます。
緩徐進行1型糖尿病
発症後、数カ月~数年ほどをかけてインスリンが分泌されなくなるタイプです。
この経過は、2型糖尿病とよく似ています。慎重な鑑別が必要です。
症状
2型糖尿病と似た症状が、多くは急激に現れます。
- 頻尿、多尿
- 異常なのどの渇き、水をたくさん飲む
- 疲労感、倦怠感
- 体重減少
- 吐き気、嘔吐
- 呼吸困難
妊娠糖尿病
妊娠中に初めて見つかった糖代謝異常(糖尿病には至っていない高血糖)のことを「妊娠糖尿病」と言います。多くの場合、出産後には血糖値が元に戻りますが、妊娠糖尿病と診断された方は将来的な2型糖尿病リスクが高くなると言われています。血糖値が元に戻っても、定期的に検査を受けることをおすすめします。
原因
妊娠中は、お腹の赤ちゃんへと多量のエネルギーが送られます。母体の血糖値が下がり過ぎないようインスリンの分泌が抑制されることで、妊娠糖尿病を発症します。
妊娠糖尿病のリスクを高める原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 遺伝的要因
- 肥満
- 加齢(35歳以上)
症状
胎児
母体の血糖値が高いことで過剰な栄養が供給され、お腹の中で大きくなりすぎることがあります。出産時、産道をスムーズに通れず、ケガをしてしまうこともあります。
出産後の赤ちゃん
母体の血糖値が高かったことで、赤ちゃんは血糖値が下がりやすくなります。出産時の呼吸低下、仮死状態などのリスクが高くなります。
母体
妊娠中の高血圧、早産、帝王切開のリスクが高くなります。
その他
その他、遺伝子異常、薬剤の副作用、内分泌疾患、膵臓疾患・手術などを原因として発症する特殊な糖尿病も存在します。
糖尿病は初期症状がない!?
糖尿病は、「サイレント・キラー」の1つに数えられる通り、症状(特に初期症状)の乏しい病気です。
以下のような症状がすでに現れている場合には、糖尿病がある程度進行しているおそれがあります。
このような症状が出た際にはご相談ください
頻尿・多尿・のどの異常な渇き
排尿回数が増えた、1回の排尿量が増えた、夜中に尿意で何度も目が覚めるといった頻尿・多尿は糖尿病のよく知られた症状です。
また、同じような活動量の人と比べてすぐにのどが渇く・飲んでも渇きが癒されないといった場合にも、異常と考え受診するようにしてください。
疲労感・倦怠感
特に運動のし過ぎ・働き過ぎというわけでもないのに疲労感・倦怠感が続く場合は注意が必要です。
ただ、疲労感・倦怠感は誰しもが経験する身近な症状であるため、「歳のせいだろう」「ちょっとしたら良くなるだろう」と片付けてしまいがちです。
しっかり睡眠・休養をとってみたけれど疲労感・倦怠感が抜けない場合は、ご相談ください。
食欲が増えたのに体重が減る
糖尿病になると、インスリンが十分に働かないためエネルギー不足になり、「食べているのに体重が減る」ということが起こります。特に生活習慣を改善したわけでもないのに1カ月に2kg以上体重が減ったという場合には、糖尿病などの病気を疑い、受診しましょう。
体重減少が見られる糖尿病は、かなりの進行が疑われます。
糖尿病合併症による症状
糖尿病の合併症の症状に気づいて受診し、初めて糖尿病だと知るというケースも少なくありません。
糖尿病と診断された方はもちろん、糖尿病と診断されていない方でも健康診断を長く受けていない方も、以下のような症状があればできるだけ早く当院にご相談ください。
視力低下・目のかすみ・まぶしさ
糖尿病網膜症に見られる症状です。
糖尿病と診断されている人は、内科等で糖尿病の治療を行うだけでなく、眼科も受診し、糖尿病網膜症の予防・早期発見に取り組みましょう。
手足のしびれなどの違和感
糖尿病神経障害に見られる症状です。
手足(特に足)のしびれ、痛みといった違和感があります。「足裏に1枚紙がくっついている感じがする」「ピリピリ・ジンジンする」という患者様もおられます。
また感覚が低下するため、足などにできた傷に気づきにくくなります。
傷が治りにくい・感染症になりやすい
動脈硬化によって血流や抵抗力が低下することから、切り傷や擦り傷、やけどなどの治りが遅くなります。また尿路感染症などの感染症にかかりやすくなります。
神経障害の「傷に気づきにくい」という症状と重なると、小さな傷が潰瘍となったり、壊死に至ったりするリスクが高くなります。
足などのむくみ
糖尿病腎症に見られる症状です。
腎臓の機能が低下するため、足や手、顔などがむくみます。腎症の症状としてはその他、倦怠感、血圧上昇などがあります。
その他
自律神経が障害されることで、立ちくらみ、便秘・下痢、腹痛、多汗などの症状が現れることがあります。