肝機能障害・肝障害
肝機能障害(肝障害)とは

肝機能障害と言われたら?
健康診断で肝酵素検査のAST(GOT)、ALT(GPT)、γ‐GTP、等の項目が基準値から外れ「肝障害あり、再検査してください」と報告を受けた人も多いと思います。ついつい毎回同じことを言われているし、お酒を飲んでいるし、症状はなにもないので放っておこうとなっていませんか?
健康診断で何らかの項目で異常を指摘される人は約8割と多いです。肝障害を指摘される人は全体の1/4と、一番多い異常です。肝臓という臓器は再生力が強く、肝臓の7割を切除しても症状が出てきません。それ故に「沈黙の臓器」といわれ、ひどくならないと症状が出現しません。そういうこともあり異常を指摘された人が放置している現状があります。
原因

お酒を飲んでいる方の場合には、きっとお酒が原因で肝臓の値がひっかかっただけなので、精密検査は必要ないと考える方が多いのも事実です。また最近、食事が不規則だったから、コレステロールが高いので脂肪肝のせいだろうと考える人もいます。実際に肝臓機能を見る血液検査項目の一つであるγ-GTPは、アルコールの摂取で上昇しますが、γ-GTPは脂肪肝や薬剤による肝障害、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、胆嚢炎など、お酒以外の病気が原因となって基準値から外れていることもあります。
このような場合では、お酒をやめてみたとしても検査値は改善しません。むしろ、もしも胆嚢炎や原発性胆汁性胆管炎であれば、治療開始時期が遅れることで、重症と言われる状態にまでなってしまう可能性があります。病原体が身体で暴れれば敗血症で、肝臓が傷んで肝硬変、肝不全になっては命にも関わります。
肝機能障害は重い病気があることを、数値となってあなたに教えてくれているのかもしれません。もしも健康診断で肝機能障害を指摘されたら、お酒が原因だろうと自己判断せずに医療機関で精査を受ける方がいいでしょう。
診断・治療

肝臓専門医は肝疾患診療に熟練し、患者さんに持参いただいた健康診断結果を見た上で詳しくお話をうかがい、いくつもの病気を頭に思い浮かべます。その上で血液検査、腹部超音波検査(エコー)、必要に応じて腹部CT検査、腹部MRI検査も行い診断していきます。
それでも診断が難しい場合には、肝生検(肝臓の一部を細い針で採ってきて、顕微鏡で観察する)を行います。
このように専門医であっても、肝臓の病気の診断は色々な検査を行った上でも困難なことがあるですから、健康診断の結果を自己判断することはお勧めできません。
自覚症状がないにも関わらず、健康診断の結果肝機能障害と判定された場合、どのような肝臓の病気の可能性があるのか専門医のいる医療機関の受診をお勧めします。
当院では肝臓の専門医が診療を行っています。超音波エコー検査についても必要に応じて当日対応が可能な体制を整えていますので、少しでも気になる方はお気軽に当院にまでご相談ください。