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原発性胆汁性胆管炎(旧称:原発性胆汁性肝硬変)

原発性胆汁性胆管炎(旧称:原発性胆汁性肝硬変)とは

原発性胆汁性胆管炎とは慢性進行性の肝疾患です。英語でPrimary Biliary Cholangitisと言われるためにPBCと略されることがあります。

肝臓には胆汁という消化液を作る機能がありますが、作られた胆汁が通る細い胆管(胆汁が通る道路)が壊れることにより、胆汁が流れなくなり肝臓にダメージを与えてしまいます。それにより肝硬変や肝不全と言った命に関わる状態になることがあります。

女性に多い病気ですが男性にもみられます。近年日本では症状がない無症候性といわれる状態の患者さんが増加していますが、無症候性から症状がでる患者さんは10年で約1/4に上ります。肝癌の合併が増加していることも特徴です。

症状

健診などで肝機能障害を指摘されて見つかることも多いですが、症状としては、一定数の患者さんは皮膚のかゆみを訴えることがあります。この段階で診断され治療が行われれば良いのですが、治療が行われないとさらに進行していきます。すると肝臓の中の胆管がさらに壊れてしまい、胆汁の流れがより一層悪くなります。そうなると胆汁に含まれる成分が血液中に流れ込み全身に強いかゆみが起こります。

また、肝硬変(肝臓が線維化により硬くなってしまうこと)にまで進行してしまうと血液の流れが悪くなり、食道・胃静脈瘤という命に関わる出血を来たす合併症も起こります。肝臓が悪くなると倦怠感(疲れやすい)、嘔吐といった症状も出てきてしまいます。

また、胆汁は食事から摂るビタミンDの吸収に必要とされるため、胆汁が流れなくなってしまうとビタミンDが吸収されにくくなり、特に女性では骨粗鬆症が進行しやすくなってしまいます。コレステロールを運ぶ役割も胆汁は担っているために、血液中のコレステロールが上昇し、目の周りに脂肪が沈着する眼瞼黄色種が認められることがあります。

もっと肝臓の機能が低下していけば、 黄疸やむくみ、腹水(お腹にお水が溜まること)、 肝性脳症(頭がボーっとすること) などの症状が出てきて、肝移植を行わなければ命が助からない状態に陥ってしまうことがあります。肝臓に癌ができることもあり注意が必要です。

加えて、自己免疫(病原体と戦う身体の兵隊さんが自分を攻撃すること)を起こしやすい患者さんは、胆管だけではなく他の組織・細胞も攻撃されることがあり、他の自己免疫疾患がよく合併します。涙や唾液が出にくくなり、口や眼が乾燥するシェ-グレン症候群、関節痛を伴う関節リウマチ、身体の疲れやすさやむくみを伴う慢性甲状腺炎(橋本病)が合併するとされており、これらの病気の症状が先に目立つこともあります。潰瘍性大腸炎という免疫性の腸炎も合併しやすく、血便が見られた場合にも注意が必要です。

診断方法

血液検査や症状からなる診断基準があります。血液検査で肝臓の状態を表すAST、ALT、γ-GTP、ALPが高値となります。また抗ミトコンドリア抗体という自己抗体(病原体と戦う身体の中にいる兵隊)が9割近くで陽性となり、IgMという蛋白質が高値になる傾向を示します。

他に肝臓の細胞を採ってくる肝生検を行い、胆管が特徴的な壊れ方をしていれば、この病気がかなり疑わしくなります。しかし、肝生検は身体に負担がかかるために超音波検査(エコー検査)などで経過をみて慎重に行います。遺伝性については統計学的根拠は示されていませんが、一定の傾向があるのではないかと示唆されています。

治療法

基本的にはお薬を内服することで治療を行います。ウルソデオキシコール酸(UDCA)がよく使われる薬であり、約9割の患者さんで血液検査の数値の改善を認めます。しかし、かなり悪化した患者さんでは効果が十分でないことがあります。ベザフィブラートという薬を併用することもあります。薬の効き方がウルソデオキシコール酸と違うために併用することが多いです。併用に関して色々と議論がありますが、一定の効果は得られることが多いです。

加えて自己免疫性肝炎を合併することがあり、その場合にはステロイドを併用します。

かゆみ、高脂血症とビタミンDの吸収障害による骨粗鬆症に対する治療も合わせて行っていきます。

また、この病気は門脈圧亢進症(肝臓に血液が流れずに回り道をすること)になりやすく、命に関わる消化管出血を来たす胃食道静脈瘤は肝硬変に至る前に出現することがあるので、定期的な胃カメラによる経過観察が必要となります。

肝癌の併発もあり、定期的な超音波検査(エコー検査)などを行います。難病と言われる病気であり、時には肝移植の適応となりますが、重症進行例では手術成績が悪くなるので適切なタイミングでの移植が必要となります。継続的に適切な治療を受けていれば日常生活に大きな制約はなく、健康な人とほとんど変わらない生活を送ることが出来ます。しかし、適切な治療が行わなければ先述したように生命を脅かす病気です。

当院では肝臓の専門医が診療を行っています。超音波エコー検査についても必要に応じて当日対応が可能な体制を整えていますので、少しでも気になる方はお気軽に当院にまでご相談ください。

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総合内科 / 一般内科

その他、日常よく見られる症状
(風邪・インフルエンザ・咳・胃腸炎・腹痛・
頭痛・倦怠感(体のだるさ)などの体調不良)

経歴
2007年3月名古屋市立大学医学部医学科卒業
2007年4月京都大学医学附属病院就職
2009年4月高松赤十字病院消化器内科就職
2012年4月大阪赤十字病院消化器内科就職
2021年2月屋島おおはら内科・消化器内科クリニック開院
所属学会・専門医
日本内科学会認定内科医
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本肝臓学会専門医
日本超音波医学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医

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