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潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎とは潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜を荒らす原因不明の大腸の免疫性腸炎(炎症性腸疾患)です。免疫性とは、元来ならばい菌と戦う兵隊さんが間違って自分の体を攻撃してしまう病気のことです。病気になるのは30歳以下の成人に多いですが、50歳以上の方にも増加傾向にあります。先ほども書いた通り原因は不明で、免疫学的機序や心理学的要因も原因ではないかと言われています。通常、血液を伴う下痢(軽症の場合には血液は見えない)と倦怠感(体がだるいこと)など他の臓器の合併症も少なくなく、かつ大腸癌の発生率が高いと言われています。多くの患者さんは症状が悪くなったり良くなったりすることから病院の受診をためらっている間に、大腸粘膜を痛めてしまったり大腸癌を発症してしまうことがあります。
似たような病気では大腸だけに留まらず、小腸まで粘膜がやられるクローン病や他の臓器もやられるベーチェット病があります。これらとの鑑別も重要です。

潰瘍性大腸炎の症状

過敏性腸症候群とは潰瘍性大腸炎の症状は主に、血便(血液の混ざった便)、粘血便(粘膜と血液の混ざった便)、下痢あるいは血性下痢(ほぼ血液だけのような下痢)が病気に気づくきっかけになることが多いです。大腸の中でもどこまでの範囲が荒れるか、またどの程度強く荒れるかによって症状の出方が異なります。軽症例では血便を伴わないが、重症化すれば、水様性下痢と出血が混ります。他の症状としては腹痛、発熱、食欲不振、体重減少、貧血などが主な症状です。さらに関節炎、虹彩炎(眼の炎症)、時には皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症など)などの腸管以外の外合併症を伴うことも少なくありません。

潰瘍性大腸炎の診断方法

診断の仕方は大腸カメラ含めて、下痢などの潰瘍性大腸炎の症状や回数などで重症度も含めて決まってきます。具体的には

 a)臨床症状

持続性(ずっと続く)又は反復性(何回も繰り返す)の粘血・血便あるいはその経験がある。

b)①内視鏡検査(大腸カメラ)

粘膜は拡く荒らされ、粘膜の血管が見えなくなっており、粘膜がざらざらの状態になっている。さらに、もろくて簡単に出血をして、粘血膿性(海が粘液についているか、ⅱ)たくさんの小さな粘膜の傷または、深い粘膜の傷もしくは深い粘膜の傷だらけで粘膜がガタガタになっている。

②注腸X線検査(バリウム検査)

ざらざらの大腸粘膜が拡っている変化がある
多くの小さな粘膜の傷、または深い粘膜の傷
深い粘膜の傷だらけで粘膜がガタガタになっている。
その他、大腸のひだが見えにくくなったり腸管の狭くなる、短くなるなどが認められる。

c)生検組織学的検査(顕微鏡検査)

症状が強いときでは粘膜全体に拡く粘膜を攻撃する細胞が認められる、膿が見える、あるべき粘液を出す細胞がほとんど認められないが確認される。いずれも他の病気でも見られるので、総合的に判断する。症状が軽い時では粘膜の正常構造の破壊、萎縮が残存する。これらの症状は通常、肛門付近から連続性に口側に向かってにみられる。

b)c)の検査が不十分あるいはできなくとも、手術などで、目で見てわかるレベルであったり及び顕微鏡で潰瘍性大腸炎に特徴的な像を認めるときは、下に書かれた病気が否定できれば、確定診断とする。
否定すべき疾患は、細菌性赤痢、アメーバ性大腸炎、サルモネラ腸炎、カンピロバクター腸炎、大腸結核、クラミジア腸炎などの感染性腸炎が主体で、その他にクローン病、放射線照射性大腸炎、薬剤性大腸炎、リンパ濾胞増殖症、虚血性大腸炎、腸型ベーチェットなどがある。

上に書かれたように基準はありますが、まずは気になる点があれば専門医が対応する当院を受診することをお勧めします。

潰瘍性大腸炎の治療

重症例や、ある程度の全身障害を伴う中等症例に対しては、重症例では入院の上、脱水、電解質異常(身体の中の塩気のバランスの管理)、貧血、栄養障害などへの対応が必要となります。まれではありますが激症例や長期間放置されて大腸が機能を果たさなくなった場合などには外科的に大腸の一部を切除することもあります。
軽症及び中等症例では5-ASA製剤と言われる分野の薬を使い、効果が出ない場合や重症例でステロイド剤にて早い段階の症状改善を目指します。その後の改善状態を維持するには5-ASA製剤を第一として考えます。しかしステロイド剤で効果は不十分な場合には、免疫抑制剤や生物製剤との使用も選択肢に挙がります。また、緊急を要する場合には透析のようなメカニズムで血球成分除去療法が行われることもあります。
薬などの治療に反応せず症状が改善しない場合には、手術による大腸の切除も選択肢に挙がりますが最近は薬の発達により、早めの受診をすれば手術に至る症例は多くはありません。
放置すれば、大腸癌や大腸切除などの取り返しのつかない状態になることがありますが、
治療法の選択枝が増えてきた現在においては、どれだけ早く診断をつけて治療に入るか、また免疫の病気であるために途中で治療を自己中断せずに通院することが大切となります。
重症度によっては、治療費は国からの助成金制度も利用することが出来るので、気になる症状が少しでもあれば、消化器病専門医が担当する当院の受診をお勧めします。